カザフスタンの事務所にとても優秀なカザフスタン人のスタッフがいた。名前を仮にローザとしよう。
ローザはとても有能で、たくさんの仕事をいつもきちんとこなしていた。
私たちは国際会議を企画し、ローザは実務面での責任者として忙しく立ち働いていた。ある日、ロシアのエカテリンブルグというところの大学から参加申請が来た。私はエカテリンブルグという名前が気に入り、自分の席で地図を見て、それがどこにあるのか探した。それはカザフスタンの北側、ウラル山脈のふもとの街だった。私が地図を見ている間も、スタッフはみんな準備のため忙しく仕事をしていた。
私は地図でエカテリンブルグを見つけたことがうれしくなり、「ローザ、あったよ、エカテリンブルグ。」と言ってローザのそばに行き、地図を見せようとした。
そのとたん、ローザが怒った。
「私、いそがしいんですから、余計なこと言わないでください！先生、だまっててください！」
私は豆鉄砲食らったハトのような顔になった。そして、まわりのローカルスタッフはみんな声を殺して笑っていた。
