学校法人朝日学園 明生情報ビジネス専門学校

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これって異文化?

 カザフスタンでは、国際会議における発表で使うため、学習者の学習動機に関するアンケートを実施した。
 アンケートはまず日本語で作成し、それをロシア語に訳さなければならず、手続きが煩雑であったため、担当者2人(仮に名前をアリョーナとナターシャとする)がそれぞれミスをした。
 たいへん重要なアンケートであったので、私はかなり腹を立て、二人を厳しく叱責しようと思った。
 執務室は大部屋で他のセクションの人たちもいるので、そこで叱責してはかわいそうだと思い、空いている教室に集まるよう指示した。
 私はまずナターシャを叱った。ナターシャは、いろいろ言い返してきたが、私が問題点をきちんと説明すると最後は黙ってしまった。
 それで私はアリョーナに向かった。アリョーナはロシア語への翻訳で大きなミスを犯していた。
 それで私は彼女にどうしてそんなひどい間違いを犯したのか、尋ねた。
 すると彼女は答えた。
 「先生が最後のところでアンケートのあちこちを何度も何度も変えたでしょ、これで最後だ、最後だといいながら。だから私は間違えたんです。」
 私の顔面に炸裂した強烈なクロスカウンターパンチ。私は思わず絶句した。
 まさか、こんな反論が返ってくるとは夢想だにしなかった。
 想像してみてください。あなたの目の前で直近の上司が頭から湯気を立てて怒ってる。その上司に向かって、いや、私は悪くない、問題はあなたのほうにある、と言えますか?
 アリョーナはそれをやった。
 で、なんとも情けないことに、私は納得してしまった。
 「そうかあ。そういえば、締切の後でもオレなんどもアンケートいじったもんな。そうかあ…」
 それでこの叱責は知りきれトンボで終わった。
 大学出たばかりの若い娘が50すぎたオヤジを平然とやりこめた。あっぱれとしかいいようがない。これって異文化ですよね?それとも今の若い日本人だったらおんなじことをやるのかな?

荒川友幸
日本語教師養成科 主任
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