学校法人朝日学園 明生情報ビジネス専門学校

〒130-0021
東京都墨田区緑1-2-10

TEL:03-6659-4499 FAX:03-6659-3749

火焔樹

 

 パプアニューギニアで勤務していた学校のすぐそばに火焔樹の巨木があった。咲くのは11月、これから雨季という頃だった。
 ポートモレスビーは赤道のすぐ南にあり、年間の日没時間は30分くらいしか違わない。年間の平均最高気温も、一番暑い12月が30度、一番涼しい6月が27度と年間を通じて3度しか違わない。
 それでも植物はわずかな気温の変化を敏感に察知するようで、例えば火焔樹に花が咲くのは1年に一度、11月だけだった。
 私は、毎日ポートモレスビーから40分かけて車で学校に通った。途中、500mくらいの高さの岩山を越えた。その山の頂上の向こう側の高原には、雨季が終わってちょっとだけ涼しくなると一面にススキのような草が生えた。箱根の仙石原のようだなと思い、遠い、遠い日本をなつかしんだ。

フランジパニ(プルメリア)も熱帯の花木だ。これも11月に咲く。
 フランジパニの高さは数mでそれほど高くないが、その形はユニークだ。幹から枝がケヤキのように放射状に広がっていくのだが、枝が先端まで細くならない。枝の先端に、大きな淡いピンクの花が咲く。葉はあまり付いていない。
 フランジパニの太い枝の複雑な構成とその先端に咲く花の様子を見て、私はビュッフェの絵を連想した。ビュッフェは大胆な直線の組み合わせ、対象をやや抽象的に描く。フランジパニはそれに似ていた。

荒川友幸
東京明生日本語学院 養成科主任
Facebook
Twitter