海外の日本語教育の状況は国際交流基金が3年に一度調査します。発表されている最新のデータは2015年のもので、海外の日本語学習者数は約365万人(※2)です。その前の調査(2012年)のときは398万人でしたから、33万人減少しました。これは、日本語学習者の多い、中国、インドネシア、韓国で学習者数が大幅に減ったことが原因です。それでも、これらの国々には世界最多の日本語学習者がいます。東アジアの学習者は海外の学習者全体のほぼ50%です。次が東南アジアで30%、3番目がオセアニアで11%、4番目が北米で5 %と、環太平洋の地域が海外の日本語学習者数の96 %を占めます。
海外の多くの地域では日本語に実用的な価値はありません。日本語が話せるようになっても、就業のチャンスは増えません。海外では多くの場合、日本語学習のきっかけは日本文化との接触です。具体的には、アニメ、マンガを見たこと、日本の伝統文化に触れる環境にあったこと、武道に打ち込んでいることなどです。海外での日本語学習には多くの困難が伴なうため、多くの学習者は初級レベルで日本語学習をやめます。中途で学習を断念する学習者達も達成感を得られるようにするため、海外での日本語教授は日本語+アルファが必要になります。+アルファとは、たとえば日本事情に関する情報提供、日本文化体験などです。
※2:国際交流基金『海外の日本語教育の現状 2015年度日本語教育機関調査より』